NHKドラマ「シバのおきて」で考える犬文化──柴犬ブームと人を救う力

柴犬ブームと人を救う力 シバのおきて

ドラマ「シバのおきて」の背景には、柴犬を中心とした日本の犬文化があります。原作『平成犬バカ編集部』を通して、柴犬ブームや犬文学の意義、犬が人を救う象徴性をひも解きます。

編集部の実像と雑誌「Shi-Ba」の誕生

孤立した編集長と柴犬の出会い

物語の中心にいるのは、職場で孤立していた編集長。
人間関係に行き詰まり、居場所をなくした彼のそばに残っていたのは、ただ一匹の柴犬「福太郎」でした。
その存在が「日本犬専門誌」という企画の火種となります。

個性的な仲間たちが集まり雑誌を創刊

やがて編集長のもとには、他の職場では居場所を得られなかった人や、型破りな個性を持つ人々が集まります。
彼らは決して「理想の編集部のメンバー」ではありません。
けれども、柴犬という共通の関心によって結びつき、新しい雑誌「Shi-Ba(シーバ)」を立ち上げることに成功します。

犬を中心に生まれた人間模様

孤立した人々が集まり、一つの雑誌を作り上げていく過程には、人と人をつなぎ直す力が描かれています。
その媒介となったのが犬。原作を読むと、犬が社会的役割を担う存在であることを強く実感できます。

柴犬ブームの裏側にあるもの

なぜ柴犬はこれほど愛されるのか

柴犬は日本古来の犬種で、古代より(一説によると縄文時代から、また弥生時代から)人間社会の中に共生していたとされている、凛とした顔立ちと忠実さが特徴です。
海外からも「Shiba Inu」として人気が高く、「Doge」コインのキャラクターにもなりました。
その可愛らしさと誇り高さの両面が、多くの人を惹きつけてやまない理由でしょう。
フィギュアスケートのザギトワさんのシバ好きも有名です。

メディアとブームの関係

1990年代から2000年代にかけて、柴犬を特集する雑誌やテレビ番組が増え、ブームを後押ししました。
「Shi-Ba」誕生もその流れの中にあり(平成13年(2001年)創刊)、単なる愛玩動物としてではなく「生活に寄り添うパートナー」として柴犬が注目されるきっかけになったのです。

ブームが映し出す日本社会の価値観

柴犬人気の背景には、日本人が大切にする「素朴さ」「忠誠心」「誠実さ」といった価値観が投影されています。
キリっと立った三角形の耳、くるんっと丸まったバネのある尻尾。
その凛とした姿は、サムライ日本の象徴とも言えるのではないでしょうか。
柴犬を愛することは、日本人が自らの文化やアイデンティティを確認する行為でもあるのです。

“犬文学”という新しいジャンル

犬を題材に社会を描く作品群

片野ゆかさんの『平成犬バカ編集部』をはじめ、犬を題材にしながら社会や人間模様を描く作品は数多く存在します。
犬を主役に据えることで、人間社会の矛盾や再生の物語を浮き彫りにできるのです。
こんな本もおススメです。

👉『犬が伝えたかったこと 三浦健太 (著)(サンクチュアリ出版)(PR)
👉『少年と犬』馳 星周 (著) (文春文庫)(PR)
👉『フランダースの犬』ウィーダ (著), 村岡 花子 (翻訳) (新潮文庫)(PR)

片野ゆかの立ち位置と役割

片野さんの著作には、常に「動物を通じて社会を見つめる視点」があります。
『ゼロ!熊本市動物愛護センター10年の闘い』などでも、犬や猫を取り巻く状況から行政や人間社会の課題を描き出しています。
その延長線上に『平成犬バカ編集部』があると考えると、「犬文学」と呼ぶにふさわしい存在感を持っています。

文学としての普遍性と未来性

犬文学の魅力は、動物の可愛らしさを超えて「人間の生き方」を問う点にあります。
『平成犬バカ編集部』がドラマ化されることで、犬文学というジャンルがさらに注目を集め、次世代へと広がっていく可能性があります。

犬が人を救う象徴性

原作で描かれる犬のまなざし

平成犬バカ編集部

物語の随所から、柴犬のいきいきとした仕草や、柴犬ならではの凛とした佇まいが伝わってきます。
その姿に触れることで、編集長や仲間たちは再び前を向く力を得ます。
犬は言葉を持たない代わりに、存在そのものがメッセージとなるのです。

現実社会における犬のセラピー効果

現実の世界でも、犬はセラピードッグとして人の心を癒やしています。
病院や介護施設で犬と触れ合うことで、患者の表情が明るくなる──そんな効果は科学的にも証明されつつあります。
原作に描かれる犬の役割は、まさにこの現実と重なります。

人と人をつなぐ媒介としての犬

犬は、異なる立場の人々を自然につなげる存在です。
公園で犬を連れていると見知らぬ人と会話が生まれるように、編集部でも柴犬を中心に人が集まり、新しいつながりが生まれました。
犬は「社会的な接着剤」としての役割を果たしているのです。

まとめ

ドラマ「シバのおきて」の原作『平成犬バカ編集部』は、編集部の人間模様を描きつつ、日本の犬文化や社会の背景を映し出しています。
柴犬ブームの裏にある価値観、犬文学としての広がり、犬が人を救い、人をつなぐ象徴性──これらを理解することで、ドラマの奥深さが一層見えてきます。

「犬は人を癒やし、人をつなぐ存在である」。
この普遍的なメッセージを心に留めながら、「シバのおきて」の世界を味わってみてはいかがでしょうか。

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