2025年9月30日から放送スタートするNHKドラマ10「シバのおきて」。
その原作は、片野ゆかさん著『平成犬バカ編集部』(集英社)です。単行本と文庫があり、全18話構成。ドラマは全9回で映像化されます。
この記事では、原作の第14~18話、社会の変化、犬の高齢化、『Shi-Ba』も変化、発展、生まれ変わっていきます。ドラマでどんなシーンが期待できるのかを解説します。
第14話 インターネットと大災害

原作の当時は、インターネットでブログが流行り始めたころ。飼い犬ブログの中でも熱狂的な人気を集めた『富士丸な日々』。コリーとハスキーのハーフの富士丸が7歳という若さで突然死を遂げ、井の頭恩賜公園野外ステージで行われた「おくる会」には、大物スターのそれと見まがうばかりの大勢の人が集まったというエピソードが紹介されています。命日となった日、飼い主で文筆家の穴澤賢が、仕事で出かける前の富士丸はいつも通り普通に元気、5時間後に穴澤が帰宅すると、既に亡くなっていた。。もうこの章は、涙なしには読めません( ;∀;) ドラマでも、悲しいけど、見たい場面です( ;∀;)
編集長・井上の愛犬・福太郎も、加齢とともにずいぶん眠りが深くなってきた毎日。そんな福太郎を奮い立たせたのが、突然同居人となった二匹の子猫、福次郎と幸子。井上夫妻と福太郎がドライブで訪れた海で、福太郎の後を付いてきて離れなかった兄・妹の子猫が、同居することになったのです。多頭飼育しているお宅では、昔から住む “長老犬” が、後から来た若い同居犬に刺激を受けて元気を取り戻す “あるある” 的なエピソードかもしれません。ドラマで再現するのは難しいかなぁ。。原作には、福太郎、福次郎&幸子の写真も載ってて、超・かわゆし(*^^*)
活動的になって来た福太郎が外出したいと、井上の妻・美津子にせがみ、お散歩に。おなじみの公園に着くと、、地面がグラリ、、あの東日本大震災生!この地震で、被災地には自宅に取り残された犬たちが多数死亡。。
この教訓を受けて、避難の在り方も改善されていきます。「譲渡会」というシステムも生まれてきます。東日本大震災の5年後に発生した熊本地震の際には、多くの飼い主が「ペット同行避難」をしたとされています。
大災害が起きた時の愛犬との暮らし方は、ドラマでも取り上げてほしいテーマです。
第15話 シーバ、炎上

遂に『Shi-Ba』も10周年。雑誌の中には2、3号で終わってしまうモノもある中で、柴犬、日本犬の専門誌という異色の雑誌で10周年は快挙。いつにも増して企画にも熱が入り、出てきた企画が “袋とじ”。アダルト系の雑誌によくある、アレです(;^_^A スタッフ犬たちも見事にポーズを決めてくれます。スタッフ犬としては珍しい、甲斐犬のジュウザも加わります。柴よりも迫力がある犬種です(↑上の写真が甲斐犬)。私も甲斐犬って見たことないから、ぜひドラマの映像で見てみたいです。またこの袋とじには、編集長・井上の熱い想いや、編集部の七不思議エピソードも満載です。
ちなみに、編集部の七不思議には、「犬の来客のみにお菓子を出す独特の習慣」「福太郎と井上の手作りロケ弁当の中身がほぼ同じであること」など、笑えます(笑) 片野ゆかさんの文章は、本当にほっこりさせてくれて素敵です(*^^*)
しかしこの10周年記念号、蓋を開けてみると、、SNSで炎上。。「マジキチ」「サイテー」。。でもこれらは、本来の『Shi-Ba』の読者ではない、いわば “通りすがり” の読者の意見。その後次第に、「制作側が楽しんで作っているのが伝わってくる」など、本来の読者からの意見が寄せられてきて、事態は収まります。『Shi-Ba』が10周年を迎えられたのは読者のおかげ、そして『Shi-Ba』を救ってくれたのも読者の力。読者ファースト、愛犬ファーストの精神が発揮される名場面。ドラマでも名場面になってほしいです。
第16話 ニッポンの犬、変化する

「最近の柴犬って、前とは顔つきが違ってきたような気がする…」という会話が編集スタッフ内で交わされるようになります。全体的に丸みを帯びて、目もクルッとしたアーモンド形に近いものになってきます。これは、犬の性格が日本人のニーズに合ったものに近づくよう、プロのブリーダーが努力を重ねたことの表れです。
昔は家の外で、番犬として暮らしていた犬たち。それが屋内で人と一緒に暮らすようになる。特にレトリーバーのような穏やかな性格の洋犬は馴染みやすかったが、柴犬、日本犬はどこか凛としていて、人との距離感を感じさせる。でもそれもだんだん変わってきたわけです。
この話は、ドラマ的には表現しにくいかもですね。この章では、編集部内のスタッフの育て方、人材不足の問題も描かれているので、ドラマで人間関係を楽しめる場面かも知れません。
福太郎も既に14歳、人間なら80代の高齢になった福太郎の姿が原作に載っています。もう可愛くって、泣ける(´;ω;`)ウッ…ドラマで見れないかなぁ。
第17話 福ちゃん、奇跡の生還!

本章では、平成の時代、愛犬の行動や心理についての科学的なアプローチが盛んになって来た話が書かれています。犬の認知能力や、人間からかわいいと思われるような表情づくりなど、愛犬家にとって、とても参考になると思います。人が指さしたものを宝探しを当てるように持ってきてくれるなど、犬の認知能力のすばらしさ、ほほえましさはドラマで見たいところです。
犬たちの時間は驚くほど速い。そんなに急ぐなと言っても、人間の前をスーッと駆け抜けていく。。15歳で最近下痢気味の福太郎。突然ばたりと倒れ、意識もなく、真っ黒なタールのような便が肛門から流れてて来た。。肝臓と脾臓に腫瘍が見つかり、手術不可能、獣医師からも「好きなことをさせてあげてください」、、本章も涙なしには読めません(´;ω;`)ウゥゥ
井上が福太郎の大好物、ケンタッキーフライドチキンを買ってきて、最後の晩餐の覚悟で食卓へ。福太郎に「食うか…?」と差し出すと、弱々しいながらも数回咀嚼できた!そしてなんと、その後徐々に快復に向かうことに!!科学では解明できない、奇跡の生還が現実となるのです。今度はうれし涙が止まりません(´;ω;`)ウッ…
第18話 我ら、犬バカ編集部員

福太郎。享年17歳6カ月。『Shi-Ba』スタッフ犬1号・福太郎も、地上勤務から天上勤務へ異動となりました。
人生崖っぷち男・井上は、福太郎のおかげで人生を大逆転させることができた。元々口下手で人付き合いだった男が、福太郎ら愛犬たちのおかげで、人とのコミュニケーションもスムーズに行えるようになった(部下たちから見たら、仕事の指示の出し方など、慣れるまでは大変だけどね(;^_^A)。妻・美津子との家庭生活も円満になった。犬は徹底した平和主義。夫婦喧嘩などしようものなら、怖くて逃げ出してしまうのです。
愛猫の福次郎・幸子のおかげで、井上も “福太郎ロス” から立ち直り、『Shi-Ba』も遂に100周年を迎えます。記念特集は「柴犬が日本人の最高の相棒である100の理由」。創刊号では、犬が服を着るなど物珍しかった時代に、福太郎が色々なコスチュームを着こなし話題をさらい、世間でも愛犬の可愛らしい姿をSNSに投稿するのが普通になっていきました。しかし100周年号では、「本来、日本犬とはこういうものである」という原点的な魅力に迫る、創刊号とは正反対のコンセプトになったのです。
犬と人が共存し、犬も人も発展していく社会。ドラマからもそのようなメッセージを聴きたいです。
100周年号の表紙には、柴の成犬と子犬が4頭。そしてもう1頭、生後4か月にして、妙に貫禄のある顔つきの「福三郎」(柴犬)が。名前からして、、飼い主は “あの人” ですね(*^^*)
まとめ:ドラマと原作を両方楽しむポイント
原作の第14~18話では、社会的な背景の中で犬と人の生活スタイルの変化、スタッフ犬1号・福太郎の死、そして迎える100周年記念号。創刊号とは真逆のコンセプトで、『Shi-Ba』は新たな発展に向けて歩み始めます。
原作で描かれた平成時代のストーリーの面白さを、令和の時代の今、形は違えどドラマで堪能したいと思います。
また、片野ゆかさんのユーモアあふれる筆致は原作ならではの魅力です。
ドラマも、原作も、どちらもイチオシ!
9月30日のドラマスタートももう間もなくです。
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